神経の温存が上手くいかなかった時の対応
当院ではなるだけ神経を残す治療を行っております。どうして神経がそんなに大事なのか?
その理由の一つに神経から血液や水分をもらって歯は生きています。それらが絶たれると歯は枯れ木と同じようになり、割れやすくなり多くは抜歯になってしまいます。なのでなるだけ神経を残したいと思っています。
2つめの理由として、神経をとってしまう位の歯は大きなむし歯だったと思われるので、大きく削ってあることが多いです。大きく削ると歯が薄くなり折れやすくなり、また抜歯になります。
神経をとった歯に咬むことによって大きな力が加わります。咬む力は約40~70㎏もあり、1日に1800回、1年で50万回以上も咬んでいるんです。弱っている歯に強い力が加わり、その力に耐えきれずに歯が折れてしまい、多くは抜歯になってしまうので、なるだけ神経を残したいと思っています。
しかし、歯が熱いものや冷たい物にしみてズキズキ痛い、歯の周りが膨れていて膿んでいて壊死している場合、歯が大きく欠けてかぶせ物が出来ない時、咬むと痛いなどの時は神経をとらざるを得ません。
まず神経が正常かを診断します。その後正常ならむし歯をとっていきます。むし歯が深く神経が出てしまったときは直接覆髄といって神経を保護するお薬を入れます。この時に出血の具合によって神経が残せるかどうかを判断します。3ヶ月ほど経過を観察して、修復していきます。
もう一つの方法として、IPC(暫間的間接覆髄)といって、むし歯の部分を残して、そのむし歯の部分にむし歯菌を殺菌するお薬を入れて、3ヶ月ほど経過を観察してその後、むし歯の部分を完全に取り除いて、修復していく方法です。
どちらの方法も痛みが出たり、腫れたりした場合は、断髄といって、頭の部分の神経をとります。その後経過が良ければ、根っこの神経を残したまま、修復処置に移行します。
それでも痛みが治まらない場合は、全部の神経をとる処置になります。
なるだけ神経を温存できるように、配慮させて頂いていますが、あまりに痛い、腫れたなどの症状がおありになる場合は、神経の処置をせざるを得なくなり、時間もお金もかかってしまいます。故に定期来院して、確認して頂いて、なるだけむし歯になりにくい素材を使って治療をして頂きたいと思っています。